春めく島(ピアノとオーケストラのための自作曲)
前作の公開から1年以上のブランクが開いてしまいましたが、バーチャル・オーケストラとピアノのための作品をなんとか1曲仕上げることができましたのでご紹介いたします。
今作からの新しいアプローチとして「移高の限られた旋法」を使ったハーモニー構築をしてみました。もともと複数の調性を重ね合わせる多調的な響きに関心があり、2年ほどかけて少しずつ自作曲に取り入れてきたのですが、それを先に1歩進めた形になります。
4年前にもピアノ協奏曲を作ったのですが、それとは作風を変え、あまりピアノが自己主張しない抒情的な曲に仕上げてみました。曲の長さは7分半ほどで、形式はあまり意識せず自由に書いたつもりですが、かすかにソナタ形式っぽい雰囲気があるかもしれません。
冒頭から3ページ分のフルスコアはこちらです。ご覧ください。
曲の真ん中にピアノのカデンツァ風のフレーズが2箇所ありますが、そのうち2分46秒以降の部分(44小節〜)のピアノ譜はこんな感じになっております。
使用音源
メインとして使った音源は次の通りです。
- ピアノ……Synchron YAMAHA CFX Standard
- 弦楽器……LA Scoring Strings 3
- 管楽器……Cinematic Studio Woodwinds & Brass
- 打楽器その他……Spitfire Percussion & Spitfire Harp
当初ピアノ音源は手持ちのもので打ち込む予定だったのですが、ホールの音場を上手く演出することができなくて、ちょうどセールをやっていたVSL Synchronの誘惑に耐え切れずCFXを購入してみました。ステージのアンビエンスたっぷりで、ヤマハの楽器のきらびやかさとの相乗効果でリッチなサウンドですが、他のSynchronピアノシリーズに比べるとやや荒削りな印象かもしれません(他の音源についてはあくまでデモを聞いた感想ですが)。
この他、弦楽器のフラジオレットなどをVSL SYNCHRON-ized Special Edition で補強しています。LASSのフラジオは音域が足りないため、VSL Special Editionの力を借りました。フラジオはVolume2に収録されていているのですが、それ以外にもショートノートをレイヤーさせるなど音の芯をしっかりさせる役割で役に立っています。
木管楽器はCinematic Studio Woodwindsが基本ですが、セカンド奏者として、VSLのSYNCHRON-ized Woodwindsを使ってみました。プロジェクトファイルを軽くするための方法なのですが(KONTAKTエンジンだとファイルサイズが大きくなってしまうので)、ただこのやり方は音量合わせが面倒なので結構手間がかかってしまったなという感想です。