【音源有】Pianoteq7.4のフェルトピアノが楽しい!

物理モデルのピアノ音源、MODARTT Pianoteqでは、バージョン7.4で最近流行の「フェルトピアノ」のプリセットが増えました。ピアノの弦とハンマーの間に布を挟んで音を鳴らすと、柔らかくてちょっと不思議な響きになるということで、クラシックの楽器でエレクトロニカ的なことをやる「ポスト・クラシカル」系の音楽でよく使われているようです。

自分の曲にフェルトピアノを投入する予定はないのですが、とにかく弾いていると楽しいので、音源付きでちょっとご紹介します。

Pianoteqを7.4にアップデートし、プリセットを開いてみると、Felt IやFelt IIと書かれたものが増えています。フェルトピアノというと、構造上アップライトで鳴らすのが普通だと思いますが、グランドピアノについてもプリセットが用意されています。

Pianoteqプリセット

では、まずアップライトピアノをモデリングしたU4で2つのプリセットを試してみます。上がFelt I、下がFelt IIです。昔作ったソナチネ(楽譜と音源を別ページで公開中)のMIDIデータを鳴らします。

ふんわりしていて余韻もきらびやかで、なかなかいい感じではないでしょうか。Felt Iがオーソドックスなタイプ、Felt IIがエレピのようにもオルゴールのようにも聞こえる音色で、キーオフ時の音は大きめです。なお、フェルトではない普通のプリセット(U4 Midnight)はこんな感じです。

サンプリングと異なり、音色の編集ができる(Standard以上)のもPianoteqのいいところです。色々好みのセッティングを見つけてみると面白いと思います。試しに、ハンマーを少し固めに調節してみました。使いやすい音になりましたが、ちょっと面白みが減ったかもしれません。

グランドピアノのプリセットも試してみます(グランドピアノでフェルトピアノって、物理的に可能なんでしょうか※)。上から順にベヒシュタインのFelt IとFelt II、シュタイングレーバーのFelt IとFelt IIです。ピアノの機種ごとの差はあまり感じられないかもしれません。

※2022年7月追記:昔発売されたグランドピアノの中には、鍵盤裏側(下側)のレバーを引っ張るとフェルトが出てきて消音できる「ハンドマフラー」機能のついた機種が結構多くあるようです。

参考までに、Spitfireが無料で提供しているSOFT PIANOの音源も下に載せておきます。

モデリングでは出せないふくよかさがあって、こちらも楽しいです。発音タイミングにバラツキがあるのが、何ともSpitfireらしいというか……まあ味のある感じです。

フェルトピアノってどうやって録音するの?

そういえば前々から、フェルトピアノの音をどうやって収録しているのかが気になっていました。アップライトピアノのフェルトの弱音器をつけても、モコモコした音になるばかりで、ああいうファンタジックで綺麗な音がしないのです。

ネット上で探してみたら、MusicTechでフェルトピアノについて取り上げた記事が出てきました。どうも、ピアノについているフェルトを使うのではなく、ピアノのフタを全部取り外して、薄い布で覆いをしてしまうようで、意外にイージーな録り方でした。

そういえば同系統のサンプル音源で、Native InstrumentsのUna Cordaというものがありますが、あちらは弦が一本だけの特殊なピアノを作って収録するという凝りようです。この音源だけが欲しくて(もっぱら弾いて遊ぶ用途で)KOMPLETEを買おうと思ったこともあったのですが、今回のPianoteqもなかなか楽しめるので満足です。私の作るジャンルとは違いますが、もちろん曲作りにも。