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【図解】ドラえもん「入れかえロープ」と「人体とりかえ機」 のややこしいストーリー

ドラえもんのひみつ道具には、体を借りたり入れ替えたりするものがたくさんあります。てんとう虫コミックス15巻の「入れかえロープ」もその1種で、短い話ながら話のややこしさは最強クラスです。

(ドラえもんのややこしいストーリーと言えば、45巻「ガラパ星からきた男」の解説図表のページも作りましたので合わせてご覧下さい。)

意図的だったり偶発的だったり、次から次へとロープで中身が入れ替わっていき(最後は犬まで登場!)ますので、置いてけぼりを食らった読者も多いと思い、今回図表化してみました。まず、入れかえロープの効果をおさらいすると、

  • 2人が同時にロープに触れると、外見を交換するすることができる
  • 能力は交換できない
    • なので、ジャイアンの体になったとしても、ジャイアンの腕力までは得られない
  • 第三者は、入れ替わった外見に気付かず、本人を見抜ける(※)
  • 体を交換しているうちに、自分の人格と体の持ち主の人格が混ざってしまうような描写もあり

※ただし完璧ではないような感じも。なお、38巻「スネ夫の無敵砲台」や42巻「男女入れかえ物語」では、この設定はなくなったようです。ドラえもんの道具はレンタルが多いので、仕様変更はしょっちゅうなんでしょうね。

誰に入れ替わった?図表で確認

それでは図表です。

入れかえロープで、誰から誰に変わった?

こうしてまとめると、のび太の体への入れ替わりが次から次へと忙しいですね。以下、コミックスのページごとに解説してみたいと思います(漫画が手元にないと混乱すること間違いなしです)。

p49まで

まず最初、のび太がジャイアンにけんかで勝ちたいと、入れかえロープを使いますが、能力までは交換できないと言うことで失敗。ジャイアンの体を持っているのに、あっさりと負けてしまいます。ただし、なぜかドラはのび太が勝ったと勘違いしてにっこりしています。

これで、そのまま元に戻れば問題なかったのですが、ジャイアン(ただしのび太の姿)はこれを拒否。ロープの引っ張り合いになって体が入れ替わってしまいます。この時点で私含め多くの読者の頭はパニック状態になるのですが、とりあえず、のび太の中身はドラえもんに変わります。

p50

ここでジャイアンの母ちゃんが登場。ドラの姿となったジャイアンの正体をきちんと見抜き、「ひげなんかはやして」と言いながらも家に連れ帰ります。

一方クレイジーなのがドラ(姿はのび太)。状況を収束させようとするどころか、ロープの効果を面白がって新しい体の交換相手を探し始めます。読んでいる方は「何考えてるんだよ、ドラえもん!」とツッコミを入れたくなりますが、ひょっとしたら、いたずらっ子なのび太の人格が少しずつ混ざっているかもしれません。

p51~52

そしてドラ(くどいですが、のび太の姿)はしずちゃんと体を交換。しずかの体はドラに、のび太の体にはしずかが入り込むことになります。しずかママはのび太の姿のしずかを外に連れて行きます。喜ぶしずか(姿はのび太)ですが、着いたのが歯科医院と気づき、あわてて脱走。ここで偶然、通りがかりの犬と入れ替わります。

p53

しずかママはわが子が犬になったことにまったく気付かず、そのまま歯医者に連れ戻します。一方のび太の体をもらった犬はゴミあさりを始めるのですが、犬なのにのび太の人格が乗り移っているような気も?「こんなことしたくないのに」「のび太にもどろう」と言っているのは誰なんでしょう?なお、のび太の人格はこのときジャイアンの体の中にあります。

ここで一同、それぞれの外見と中身がハチャメチャになっていることに気づき、元に戻ろうとするもののみんな混乱してしまいストーリーは終結。一体どうやって元通りにしたのでしょうか。

最終的に、誰が誰に変わったかというと、

  • のび太……中身は犬
  • しずか……中身はドラえもん
  • ドラ……中身はジャイアン
  • ジャイ……中身はのび太
  • 犬……中身はしずか

です。しずちゃんは「ワン」としか言えません。

「からだの部品とりかえっこ」の場合

11巻では、体の一部を他人と交換できる「人体とりかえ機」が登場します。こちらは、のび太がしずちゃんの頭脳でスラスラと宿題をやってみたい、という願いをかなえるためにドラが出した道具です。これについても図表を作ってみましたが、こちらはそんなに混乱しないのでオマケとしてどうぞ。

うーん、図表化したらかえってわかりにくくなったかも?以下ストーリー解説です。

まず、のび太としずかが頭を交換しますが、結局頭を交換すると人格も入れ替わってしまうので、頭が良くなりたいというのび太のもくろみは失敗。女の子の姿になっただけです。

ところが、短足のドラがしずかの脚を借りたいと言い出したことからドタバタが始まります。体の又貸しなんかして……というのび太の心配をよそに、しずかの脚を得て感激の猛ダッシュをするドラ。これを皮切りに、のび太をスネ夫に腕を、ジャイアンに胴を又貸しする羽目になってしまうのです。最終ページの、

スネ夫「これこそぼくにふさわしい。芸術家の手だわ。」
ジャイアン「この身がるさ、小鳥になったみたい!」

という台詞から察するに、ジャイアンは胴だけでなく腕も交換したようなので、ここだけが要注意のポイント。スネ夫の腕がジャイアンに行ってしまいます。

結局、のび太はジャイアンの胴にドラの脚と、みんなの取り替えたいところを寄せ集めた姿になってしまい、戻ってきたしずかはビックリ。先ほどの「入れかえロープ」と同様、元に戻そうとみんなで大もめになってお話はおしまい。

「あの道この道楽な道」の場合

ストーリー自体は難解でなくても、道具の効果がわかりにくいものとして、容姿・人格はそのまま人生のコースを入れ替えられる33巻の「クロススイッチ」があります。

  • 他人の人生のコースを歩める
  • 名前も変わる(ここがわかりにくい!)
  • 相手の嗜好、行動習慣を引き継ぎ、自分がイヤであろうとその通り行動しないといけない(※1)
  • 能力は変わらない(※2)

※1……風呂好きのしずかと入れ替わったのび太は、意思に反して入浴しなければいけないと言うシュールな状況に。「しずちゃんの所にどこでもドアで訪ねていったら、入浴中だった!」というお馴染みのパターンの正反対の現象がここで起こります。

※2 …… 能力はそのままで立場が入れ替わりますので、ジャイアンと入れ替わったのび太が野球で失点しても(なんと1回で77点!)誰も逆らえません。

こうしてまとめてみたら、各登場人物の行動に納得がいき、ようやく腑に落ちました。それにしても次の作品「鏡の中の世界」と合わせて、骨川家のリッチなおやつが何ともうらやましいです。