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【図解】ドラえもん「ガラパ星からきた男」のストーリーを整理

先日投稿した「入れかえロープ」の記事に引き続き、単行本掲載作品では随一の大作で、ストーリーの難解さも最大級である「ガラパ星からきた男」の図解まとめを作ってみました。

てんとう虫コミックス全45巻のラストを飾る作品で、UFOで突如現れたアリ人間の謎と、地球征服をもくろむアリ人間とのび太たちとの攻防を描いたエピソードです。現在と1か月後の世界をひんぱんに行き来する都合で、同じ時間軸に2人ののび太がいる多重的なストーリーとなり、初めて読むと混乱すること間違いなしです。

図表化すると……

話はのび太の行動を中心に展開していきますので、現在と未来の世界の往来を下のような感じで図表にしてみました。この図は、時計回りに円を描いて、だんだん内側に巻いていく(うずまき状)感じで読んでいただければと思います。

「ガラパ星からきた男」現在と未来のストーリー進行を整理

ページ順にストーリーを追うことと、実際ののび太の行動順にできごとを並べることの両立を図った結果、このような図になりました。図のグレーの太線を指でたどりながら筋をつかんでみて下さい。

現在の世界では2人ののび太が別個に行動します。シャツの柄で判別は容易なものの、ドラえもんもママものび太が2人いることに気付かずに取り違えが起こっており、読者側もよほど意識して読まない限り混乱してしまうと思います。

  • 無地シャツののび太 …… ストーリー冒頭で未来に行き、街の異変に気付いて現在に戻ってきた
  • ストライプシャツののび太 ……2回目に未来に行き、アリ人間の地球征服を知って現在に戻ってきた

なお2人ともドラえもんの「ワスレバット」の効果で、戻ってきた瞬間に大事なこと(アリ人間のこと)を忘れてしまいます。

スマホ閲覧の場合は図表が見にくいと思いますので、このページの最後に、のび太の行動順に、物語を整理したテキストを載せておきます。

「第46巻に続く」

ところで、45巻の最後には「第46巻に続く」という記載があります(たぶん初版のみ?)が、残念ながらこれが最後のストーリーとなってしまいました。ファンの多くの方は、おそらく棚の続きに「ドラえもん プラス」が並んでいると思いますが。

45巻を見ると、「トロリン」のように少し古めの作画の作品がちらほらあり、単行本化にあたってストーリーを集めるのに苦労した跡が見られます。調べてみたところ「トロリン」は1976年の連載で、時期的に「よかん虫」や「あいあいパラソル」(いずれもコミックス12巻)と同時期だそうです。

「ドラえもん」短編の学年誌掲載は1991年ごろで終えています。短編の連載終了については、F先生の体調が思わしくなかったという事情があったのでしょう。事実、この時期に書かれた大長編「のび太と雲の王国」の完結もかなり後になったようです。今回の「ガラパ星」はそれから数年経ち、1994年の掲載ということで少し間が空いています。

のび太の行動順に、物語を整理

上の図表と重複しますが、最初から最後までのび太視点でストーリーをまとめるとこうなります。最初は、マンガのページ順と同一です。

  • のび太、お小遣いのため草むしりをするが途中放棄。未来から貯金を持ってこようと1か月後にタイムマシンで出向くが、街の異変に気付き(人気がなく、代わりにアリ人間がいる)ドラえもんに相談するべく戻る。
  • 戻った際、(のび太の悪巧みを忘れさせようとした)ドラえもんにワスレバットで殴られ記憶喪失。草むしりを再開するも、しずかからの電話を受けて、しずか宅へ。
  • しずか宅のカナリヤが野良猫に狙われていると聞き、のび太はドラに相談すると言って帰宅。

ここまで( ~p153の最初のコマ )は、読んでそのまま。次は、p154の最後のコマまで一気に飛びます。

  • 帰宅したのび太は、カナリヤ話をドラにしようとするが、ドラが慌てて外出したため伝えられなかった。仕方なくスペアポケットを取り出すが、その際謎の機械を見つける。
  • この機械の影像により、のび太は思い通りの生物が作り出せる星「ガラパ星」の存在を知る。
  • のび太、カナリヤを強く進化させるため、実際にガラパ星へ出向く。確かにカナリヤは猫より強くなったが、どこかへ逃げ出してしまう。

ここで、p169からp171まで飛びます。

  • のび太、カナリヤを追いかけるも諦め帰宅。ママから仕事をたくさん与えられたのび太は、アリを進化させて働かせようとし、再度ガラパ星へ。

またここでp172からp175下段まで飛びます

  • アリが進化するまで1か月かかるとのことで、アリをガラパ星に置いていく。帰る際に食虫植物に襲われ、服がボロボロに。帰宅後着替える。

これ以降、のび太のシャツがストライプに替わります。

  • のび太、さらにアリを集めるが、出会った出木杉から「サムライアリは他のアリを奴隷にする」という話を聞く。進化したアリが自分たちを奴隷にすることを恐れ、のび太はもう1度1か月後の世界へ。
  • このとき、ガラパ星進化研究所が危険と判定されて閉鎖されたことを知り、のび太は返金を受ける。案の定不安は的中し、ガラパ星で進化したアリが地球支配のためにUFOでやってきたところを目撃する。急きょタイムマシンで1か月戻るが、再びドラえもんにワスレバットでたたかれ記憶喪失(※)

※この部分は、153ページ・183ページで2度描写されています。

  • 記憶を失ったのび太、お使いに行く。大事が発生したことは覚えているのだが、それが何だか思い出せない。
  • 空き地で悩むのび太を、ドラが発見。2人とも帰宅し、バットを反対向きに使用してアリ人間の襲来を思い出す。
  • ドラとのび太、突如タイムマシンで現れたアリ人間に捉えられ、マユにされた状態で1か月後へ連れて行かれる(※)

※この部分も、175ページ・185ページで2度描写されています。

後はマンガの通り (p186以降) です。無地脱出したドラとのび太は色々あって無事アリを退化させ、元に戻すことに成功しました。街中に人がいなかったのは、単にみんなで映画のロケを見に行っていたから。拍子抜けする2人でした。