【仮定法】 ありえない話は時制を1コ下げて!!
(助)動詞の過去形は、もちろん昔のことを表す時に使います。でも、過去形を使う場面はそれだけではないんです。それが、現実とは違うことを「こうだったらな」と想像しながらしゃべるときに使う「仮定法」のパターンです。
この記事は中学3年生向けの内容です(令和3年度から中学校でも仮定法を習うようになりました!)が、高校で学習する事項も後半で載せています。
ここで2つ、似たような文を並べてみました。上は「もし時間があれば、車を洗うつもりだよ」というシンプルな内容ですが、この人に「ヒマな時間ができる」ということは十分に起こりうることです。
これに対して、まずありえない話、例えば 「私にお金があったら、新しい車を買うのになぁ」 といった空想上の話をするときには図の下のようになります。このとき「ありえないんだけどね」というニュアンスを出すために、(助)動詞の時制を1つ下げます。
- haveを過去形のhadに変える
- willを過去形のwouldに変える
これが「仮定法」です。過去形を使っていますが、昔のことではなく現在のことを思い浮かべています。なお、これに対して上の文章は「直説法」と呼ばれます。
仮定法の基本パターン
それでは、例文をご紹介しますが、その前に図を1つご覧下さい。
※のところですが、仮定法に限り「be動詞の過去形は、主語に関係なくwereが使える」というルールがあります。例えば「もし、私があなた(の立場)だったら」という場合には、”If I were you”と書くわけです。今までの文法知識では、”I were”なんて言ったらギョッとしてしまいますが、今後はこのような表現を見たら「あ、この人妄想をしゃべってるのね」と意識して文を読んでいけばいいことになります。
そして助動詞の過去形は、willだったらwouldに、canはcouldに、そしてmayがmightにそれぞれ変化します。
それでは例文を確認しましょう。上の図とマーク(スペードとハート)が対応していますので、見比べて(スマホだとちょっとスクロールが大変だけれど)みてください。
ご覧の通り、ifのフレーズが後半に来るパターンもあります(この場合、if自体が文の区切りになりますのでコンマは不要)。それぞれの日本語訳は次の通り。
- もし私に十分なお金があったら、このカバンを買えるのに。
- もし彼女が忙しくなかったら、私たちと一緒に来られるのに。
- もし私があなたなら、仕事を辞めて(quit)しまうかもしれないのに。
- もし彼がここにいたら、何を言うだろうか?
wishを組み合わせる
中学校で習う仮定法はもう1つ、「〜を望む」という意味のwishを組み合わせて、「〜だったらなあ」と空想する定番表現があります。例えば次のような例です。
- I wish it were true.
- I wish I were younger.
- I wish I could use magic.
それぞれ「それが本当だったらなあ」「私がもっと若かったらなあ」「私が魔法を使えたらなあ」となりますが、いずれも現実と正反対ですので過去形で表現します。
高校生で習う仮定法の基礎
中学校で習う仮定法は、現在のことを空想する表現でした(過去形を使うので「仮定法過去」と言います)。もう一度図をお見せすると
となります。高校ではさらに「あのとき〜したらなあ」と、昔の出来事をふりかえって想像(後悔?)するパターンが登場します。過去完了形を使った「仮定法過去完了」です。
図の「pp」は、動詞の過去分詞形(past passive)を指します。過去完了形は、過去形よりさらに昔のことを表すときに使えるのです(「大過去」と言います)が、今回は「昔のことで、実際と違うこと」を表現するために、過去形を1ランク下げて過去完了形にするという考え方です。
助動詞についても、have ppをつけて時制をさらに1段階下げることで、「ありえない感」を出してやるという感じになります。それでは、例文を見てみましょう。
和訳は次の通りです。
- わたしがそのニュースを知っていたら、彼女に教えることができたのに。
- あなたがもっと我慢強かったら、成功しただろうに。
- もし彼が私のアドバイスを聞いていたら、ミスをしなかったのに。
時制がずれる場合
これらを応用して「あのとき〜していたら、今こうだったのに」と、昔のことを今に結びつけて想像する文も作ることができます。
この例文はなかなかうまく作れなかったので、1つだけご紹介しておしまいにしたいと思います。
「もし昨日宿題を終えていたら、今ショッピングに行けるのに。」ですね。穴埋め問題や作文で出されると、結構ミスをしてしまうので要注意です。