Ravenscroft 275のハーフペダルは特殊?
ピアノ音源ではかなり人気度の高いこちらのライブラリー。だいぶ前ですが2019年3月にVSTBuzzで半額セール(87ユーロ)をやっていたので入手して使っていました。
ソリッドで肉厚のサウンドが素晴らしく、トッカータ的な曲を弾くととてもハマる感じです。マイクポジションが4つと豊富なのも便利で、色々なセッティングの音を出すのに役立ちますが、ペダルの挙動に特殊なところもあるので、ちょっとメモを残しておきます。
ハーフペダルの取り扱い
ダンパーペダルの踏み込みの深さによって、音の伸び具合を変える「ハーフペダル」機能。有名どころの音源でも省略されてしまいがちな機能ではありますが、Ravenscroft 275はハーフペダル対応をきちんと明記しています。でもちょっと取り扱いが特殊なのです。
設定画面で、ハーフペダルについてMAX CCとMIN CCというパラメーターがあります。これの意味がわからなかったのでマニュアルを見てみたところ、どうやらCC64(サスティン)がこの間の値(初期設定だと54~74の間)のときだけハーフペダルが作動するという仕組みだそうです。

実際にMIDIデータを送って確認してみると、確かにサスティンの値がMIN CC (=54)に達したところで少しずつハーフペダルが効いてきます。でも、思ったより余韻の伸び幅は少ない感じ。そして、MAX CCの値(=74)を超えるとフルダンパーになるのですが、これが少し唐突。ハーフダンパーとフルダンパーで音の伸び具合に落差があるため、踏みこみ具合に応じてシームレスに余韻を変化させることができないのです。
昔、ペダルの抵抗が弱くて、ちょっと踏んだだけで一番下までペダルが降りてしまうスタインウェイに出会ったことがあるのですが、その時のことを思い出しました。ペダルを踏むときに気を使いすぎて地に足がつかない感じで、かなりムズムズする演奏だったような気が。
Pianoteqなどたいていのハーフペダル対応音源は、CC64の値が1から127に変わるにつれて段階的に余韻が伸びていく仕様だと思うのですが、Ravenscroftの特殊な挙動にはかなり面食らいました。音源の差し替えなどで、他のインストゥルメントのハーフペダル情報をRavenscroftに流用する場合は注意が必要です。
なお未確認ですが、同じUVIエンジンのacousticsamplesのピアノも、ハーフペダルのMaxとMinのパラメーターが用意されているらしく、おそらく似たような動作になるのではないかと思います。
ちなみに、音の濁りを防ぐため細かくペダルを踏み変えるRepedal機能はRavenscroftでもいい感じに作動するので、このあたりは全く問題ありません。

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ノンペダルのリリースにも違和感あり?
もう一つこの音源でしばしば指摘されるのは、ノンペダル時の音のリリースが短すぎて違和感があるということ。弾いてみると確かにブツ切れ感があるかもしれません。こちらは画面左上のRelease Volumeでリリースの音量を調整(最大値でもよいぐらい)すればだいぶ違和感を軽減できます。本当はSC-88Proなど昔ながらのPCM音源でやっていたように、エンベロープのリリースタイムを直接制御できるといいのですが、最近のサンプル音源はそういう機能を持っていない方が主流になってしまいました。
実は下の曲でRavenscroftを使っています。不満点を色々並べた後で今更ですが、サウンドそのものは本当にリッチで弾いていても楽しいのです。今回はルームマイク多めのセッティングで、ステージ演奏の臨場感がリアルに演出できたと勝手に思っているのですが、いかがでしょう?