IMSLP有料会員登録とスマホアプリについて。月3ドルでクラシックを持ち運べる。

著作権切れした楽譜を無料ダウンロードできるサイトIMSLP、当サイトでもクラシック音楽の譜例を引用する際お世話になっています。

今更ながら調べてみましたが、国際楽譜ライブラリープロジェクト、International Music Score Library Projectの略称でIMSLPという名称となっているそうです。

未登録のままだとPDFのダウンロード時に15秒待つ必要がありますが、月3ドル(年間一括払いだと28ドルでお得)の有料会員になるとこれをスキップすることができます。私は決済方法としてPayPalを利用しましたが、モバイルアプリの場合はアプリ内課金で会員になる方法もあります。

有料会員は楽譜の閲覧・ダウンロードだけでなく、新旧の名盤を含む様々な録音を自由に聴くこともできます。試しに適当に検索してみると、「春の祭典」だけでなんと96種類の録音が用意されている模様。なお、ストラヴィンスキーの著作権は日本で2020年現在まだ有効ですので楽譜の方は(法的に)ダウンロードできません。

2018年の著作権法改正で保護期間が70年に延びたため、ストラヴィンスキーはあと20年以上待たなければいけません。あと戦時加算の問題とかもあるのかな?20年後の自分を想像したら……この話はやめておこう。

ただし後述しますが、こういった20世紀の新しめの作品(米国等で楽譜の著作権が切れていない曲?)は、アプリからの視聴ができません。

そして、IMSLPが著作権切れ作品をメインに取り扱うからでしょうか、現代曲の音源はそもそも取り扱っていないようです。例えばメシアンは1作品もありませんでした。

モバイルアプリで、音楽を持ち運び

公式サイトで積極的に宣伝していないので存在に気付きにくいですが、実はモバイルアプリも存在します(Android, iOS両方)。アプリを使い、聴きたい曲を事前にダウンロードしておけば、外出時でもデータ通信量の消費なしで好きな曲が聴けて、どこへでも名曲を持ち出すことができます。

ただ、タブレットを前提にしたインターフェイスなのか、スマホでの操作性はよくありません。

そして先ほども述べたとおり、新しめの作品はアプリから有料音源の視聴ができないようです。例えばプロコフィエフの場合、ピアノ協奏曲3番は問題なく聴けても、2番の方は音源の一覧が全く出てこないのです。推測ですが、一部の国で楽譜の著作権が残っている作品は、視聴(ダウンロード)に制限をかけているのではないかと思います。

ブラウザからストリーミングで聴く分には大丈夫ですが、外出先ではデータ通信量を使うことになりますので(実際にやってみたら、30分で70MBほどでした)注意が必要。バルトーク・ストラヴィンスキーなど近代の曲を好んで聴く方によっては、ちょっと残念な仕様です。

話を元に戻して、アプリの画面をいくつかご紹介します。

IMSLPアプリより、録音一覧画面

上の画面は、ドビュッシー「ビリティスの歌」で視聴できる録音一覧を表示したところ。見ての通り、GUIはちょっとごちゃごちゃしていますね。「プレイリストとしてダウンロード」を押すと、一連の曲をセットで(交響曲の全楽章など)ダウンロードできます。

IMSLPのプレイリスト画面

楽曲の管理は上のようにプレイリスト単位で行いますが、こちらも視認性はちょっといまいち……見てわかるとおり、横画面にしないと交響曲何番だかわかりませんね(曲数が多めになっていますが、1つの楽章をさらに複数に分けて収録しているためこうなります)。曲順を変更するときは非常に難儀します。

なお、アプリ内課金を使って有料会員に登録することもできます。この場合、アプリではなくPCでの閲覧はどうなるんだろう?きちんと有料会員アカウントとして取り扱ってくれればいいのですが、未検証です。

楽譜の方は……スマホでの閲覧は目を悪くしそうですが、タブレット端末では威力を発揮しそうですね。書き込みもできるようです。

最後に

実は私、クラシックを聴きながらジョギングをするのですが(※)、手持ちのCDをいちいちMP3に変換することから解放されましたし、プレイリストもバリエーションが豊富になり楽しくなりました。

※意外にペースよく走れます。ただし選曲は大事。蒸し暑い日にブルックナー9番なんかは禁物です。

使っているイヤホンはAnkerのSoundcore Liberty Airです(下は後継機種の2世代目)が、これのタッチ操作は反映されないみたいで、ちょっと残念。

走っているときアダージョ楽章はカットしたいので……ここは事前に自前のプレイリストを作らなければいけません。いずれにせよ、いろんな所に好きな音楽を自由を持っていけると生活に彩りがプラスされますので、積極的に楽しんでいきたいと思います。